エキスパート IVR ワークフローを使用すると、高度な通話ルーティングシステムを構築できます。完全にカスタマイズ可能なエキスパートワークフローは、基本的なメニューや提案を超え、発信者のニーズに基づいた最適な通話体験を実現します。
以下、詳細をご参照ください。
対象ユーザー
IVR ワークフローは、すべてのプランでご利用いただけます。
エキスパート IVR ワークフローは、プロフェッショナルサービスチームによって有効化される必要があります。
エキスパートワークフローでできること
多くの構成オプションを備えたエキスパートワークフローでは、以下のように IVR を個別にカスタマイズできます:
発信者データの収集:音声プロンプトを使って発信者から情報を取得し、その後のコールフローで利用できるように保存します。
パーソナライズされた判断:発信者の回答や保存されたデータに基づいて、最適なエージェントまたはグループへルーティングします。
外部データへのアクセス:他のシステムと接続して発信者情報を取得し、通話体験をパーソナライズします。
通知の送信:通話フロー中にメールで通知を送信し、発信者に状況を知らせます。
タスクの実行:サービスチケットの作成や、顧客の注文情報の取得・変更など、特定の業務を実行します。
Note
基本的な概要を説明していますが、複雑なエキスパートワークフローの作成には一定の技術的知識が必要なため、初めて利用する場合は、Dialpad のプロフェショナルサービスチームに相談することをお勧めします(英語対応)。
エキスパートワークフローへのアクセス
プロフェショナルサービスによってエキスパートワークフローが有効化されると、IVR ワークフロービルダー内に [エキスパート] ステップが表示されます。
[エキスパート] ステップを作成して名前をつけた後、[Expert を起動] を選択して、エキスパートワークフロービルダーを開きます。
エキスパートワークフロービルダーでは、ドラッグ&ドロップのインターフェースを使用して、様々な要素(ノード)を作成し、ルーティング用のフローチャートを作成できます。
ノードを追加するには:
ノードメニューからコンポーネントを選択します。
キャンバス上の位置にドラッグ&ドロップします。
ノードを選択して、ウィジェットやルーティングの詳細を追加します。
ノードに名前を付け、説明を追加します(オプション)。
各ノードの上部と下部にある丸(出力)と四角(入力)のコネクタを使ってノードを接続します。
丸(出力)から四角(入力)に向かってドラッグすることで接続します。
接続を解除するには、四角(入力)を選択してキャンバス上のスペースまでドラッグします。
接続を変更するには、接続を選択し、片方を別のノードへドラッグします。
[Expert を公開] を選択して、ワークフローを保存します。
ワークフロービルダーの機能
エキスパートワークフローには、複雑なワークフローの作成をサポートする様々な機能が組み込まれています。
主な機能は以下の通りです。
ローカル変更ツルバー
ローカル変更ツルバーは、ワークフローの開発を管理するためのツールで、現在の編集セッションにのみ適用されます。
以下の操作が可能です:
変更内容の取り消しとやり直し
任意のタイミングでワークフローのローカルチェックポイントを保存
ミスをした場合、最後に保存されたローカルチェックポイントに復元
不要になったローカルチェックポイントを削除
ワークフローを画像ファイルとして印刷
重要
変更を保存すると、即座に本番の IVR に反映されるため、保存する前に内容を十分に確認してください。
ナビゲーションコントロール
キャンバスの上部にあるナビゲーションコントロールを使って、ズームイン・ズームアウトや、キャバス全体の移動ができ、より見やすくなります。
マウスを長押しすることで、表示画面内のキャンバスをドラッグして移動できます。
クイックペースト
クイックペーストボタンを使うと、直前にコピーまたはカットされた要素をすぐに貼り付けることができ、ワークフロー内で要素を簡単に複製できます。
エキスパートワークフローノード
9 種類のエキスパートワークフローノードが提供され、それぞれに名前と説明をカスタマイズできます。
以下に各ノードの種類を紹介します。
Prompt and Wait(プロムプトと待機)
メッセージの送信とメッセージの待機を組み合わせたノードで、発信者にメッセージを再生し、その入力を取得します。
Send Message(メッセージを送信)
このノードは、ウィジェット、インフォメーションバブル、プログレスメッセージの3種類の手段で、録音されたメッセージを再生します。
Widget (ウィジェット):メッセージの再生、転送、通話の切断など、通話コントロール機能を提供します。
Information Bubble(インフォメーションバブル):音声通話におけるデバッグ用マイルストーンであり、発信者には再生されませんが、バックエンドのログに表示されます。
Prompt and Wait ノードと一緒に使用すると、入力待ち状態が発生し、ワークフローが停止しますので、ご留意ください。
Progress(プログレス):発信者には聞こえない進行メッセージです。カスタムレポート用のタグを作成するために使用されます。カスタムレポート機能が有効な場合、特定の形式の文字列として記録されますが、Prompt and Wait ノードと一緒に使用しないでください。
プログレスメッセージは、Send Message ノードと一緒にのみ使用します
レポート出力用フォーマット:Workflow-^Name of Workflow>::Step-^<Step Name or desc> 。ここで [-^] および [::] はレポートメッセージ内の区切り文字です。
プログレスメッセージはレポートに含まれる際に、データ種類として [Task] を選択します。
Wait for Message(入力待ち)
発信者からの入力があるまでワークフローを一時停止させます。
タイムアウトを必ず設定してください。設定しないと、ワークフローが無期限に停止されます。
IVR ワークスローを設計する際には、Send Message と Wait for Message を別々に使う必要がありません。
Voice Widget(ボイスウィジェット)
Voice Widget を使うことで、通話中に音声制御を実行できます。以下の11種類のウィジェットから選択可能です:
Voice Call-Park | 処理中に通話を保留状態にします |
Voice Call-Record | 通話を録音します |
Voice Call-Resume | 保留状態の通話を再開します |
Voice Call-Terminate | 通話を終了します |
Voice Call-Transfer | 通話を別のグループ、ユーザー、外部番号などへ転送します |
Voice Call-IVR-Collect | 発信者から入力を収集します |
Voice Call-IVR-Menu | 発信者にメニューから選択させます |
Voice Media-Wait | メディアを再生し、終了まで待機します |
Voice Play-Media | メディアファイルを再生します |
Voice Play-Prompt | テキスト読み上げ(TTS)プロンプトを再生します |
Voice Prompt-Wait | TTS プロンプトを再生し、入力を待ちます |
Note
一部のウィジェットには、[Wait for Message] ノードを追加する必要があります。
このノード自体には入力機能が含まれていないため、[Voice Call-Park] 以外の音声コントロールには [Wait for Message] または [Prompt and Wait] を追加する必要があります。
Goto Another(他のワークフローへ移動)
Goto Another ノードは、発信者をシステム内の別の IVR ワークフローに転送します。
転送先ワークフローが通話を終了しない場合は、転送先ワークフローの終了後に次のノードへ進みます。
Goto Another ノードを作成する際は、転送先ワークフローの詳細を入力する必要があります。
転送先ワークフローの URL 名を生成するには:
IVR ワークフロー名 (スペースなし)
例:Acme Sales
IVR ワークフロー ID (転送先ワークフローのURL中の “workflow_” 以降の文字列)
例:https://dialpad.com/ivrworkflows/workflow_IVR555555-4444444444
転送先 URL を生成します:
IVR/<IVR ID>/<IVR Name without spaces>
上記の例に基づくと、対象のワークフロー URL は以下のようになります:
IVR/IVR555555-4444444444/AcmeSales
この値を Target Workflow Name 欄に入力します。
Assign(代入)
Assign ノードは、通話中に情報を保存するための変数を作成または更新し、パーソナライズを可能にします。
変数が存在しない場合は、新たに作成され、指定された値が割り当てられます。
新しい変数名は、英文字のみ利用可能で、スペースやアンダースコアは使用できません。
すでに変数が存在する場合は、その変数の現在の値が上書きされます。
Notes
このノード自体には入力機能が含まれていないため、[Voice Call-Park] 以外の音声コントロールには [Wait for Message] または [Prompt and Wait] を追加する必要があります。
Conditional Branch(条件分岐)
Conditional Branch ノードは、発信者の入力、変数、または条件式に基づいて、通話のルートを分岐させます。これにより、待ち時間の短縮、VIP の優先対応、必要な情報の効率的な提供が可能になります。
3種類の条件分岐タイプを提供しています:
発信者入力:発信者が最後に入力した変数に基づいて分岐します
コンテキスト変数:通話フロー内で作成または割り当てられた変数に基づいて分岐します
customer.businessid.phone のようなシステム生成変数
式:正規表現の組み合わせに基づいて分岐します
条件分岐を設定すると、その変数に応じて異なるステップへとルーティングする複数の IVR ブランチを作成できます。
External API (外部 API / サーバー)
External API ノードは、外部サーバーと動的に通信して情報の取得や更新を行うノードです。JSON 形式の REST API が必要です。
API コールを行うと、JSON レスポンスを解析して特定の属性をワークフロー内に保存することも可能です。API コールは Dialpad のクラウドから実行されるため、API エンドポイントはクラウドからアクセス可能である必要があります。
API コールの応答時間は 2〜3 秒以内に設定することが推奨されます。音声通話中にAPI の応答が長引く場合は、API コールの前に Voice Call-Park を使用し、API 完了後に Voice Call-Resume を行うことで、タイムアウトによる通話切断やフォールバックオプション(ボイスメールなど)へのルーティングを防げます。
GET、POST、および PUT の REST API メソッドのみがサポートされています。
Notes
API アクセスを制限するには、認証ヘッダーまたは公開ゲートウェイ IP を利用できます。API が SSL で保護されている場合は、基準の SSL 署名証明書が必要です。カスタム SSL の HTTP 認証局はサポートされていません。
レスポンスの解析における変数名や属性名は大文字・小文字を区別します
Close Session(セッション終了)
Close Session ノードは、通話セッションを終了します。
注意点
エキスパートワークフローの重要なポイント:
最終のノード:ワークフローの最終のノードは入力ノードにしないこと
代わりに、Send Message ノードでトレース用のメッセージを再生するようにします
短時間の API コール:数秒以上かかる可能性のある API コールには、事前に Voice Call-Park、完了後に Voice Call-Resume を使用してください
エキスパートワークフロー外の条件分岐:条件分岐は標準ワークフローでも使用できます。エキスパートワークフロー内で設定された変数は、標準ワークフローの分岐でもアクセスできます。
外部 API の要件:JSON 形式の REST API を使用し、エンドポイントがインターネット経由で到着可能であること。SSL 使用時は標準の SSL 証明書である必要があります。
FAQs
エキスパートワークフローがグレーアウトしているのはなぜですか?
エキスパートワークフローは、Dialpad のプロフェッショナルサービスチームによる設定が必要です。詳細については、カスタマーサクセスマネージャーまたは営業チームにお問い合わせください。
API コール中のタイムアウトを防ぐには?
API の応答を待つ間のタイムアウトを防ぐには、Voice Call-Park と Voice Call-Resume を使用してください。